17年以上続く「椙山サバイバル研究」

藤原直子先生が担当する「演習Ⅲ・Ⅳ」は、2019年度で17期生を迎えた歴史の長いゼミ。2002年度からゼミでの活動をスタートした「椙山サバイバル研究」、通称「椙サバ」プロジェクトに取り組んでいます。主なプロジェクト活動は、学生生活を楽しくサバイブするために、学部・学年を越えた人のつながりを創造する仕掛けを企画し、実施すること。その活動の意義と、集団における人間関係づくりを学ぶことを目的とします。

このゼミに所属する「椙サバ生」は、新しい人間関係の構築を促すような交流を企画・実施するために、グループに分かれて活動します。今日の授業時間では、レクリエーション班が企画した「流しそうめん&水鉄砲大会」を開催。あらゆる学部学科の学生を巻き込んで楽しむことをめざしており、人間関係学部生や交流づくりに興味を抱く教育学部生などが参加。卒業生や卒業生の子どもたちも参加して、夏の日差しの下でそうめんと水鉄砲に歓声を上げ、交流を楽しみました。

学生主体の授業進行で自主性を引き出す

このような活動の楽しい場面だけに接すると、一見、遊びが目的のように感じるかもしれません。しかし、レクリエーション班の学生たちは、“学生同士の交流を促すレクリエーションの実現”をめざして、この日までに試行錯誤して企画を進めてきました。班のなかでは当然、異なる意見があり、時にはぶつかることも。自分の考えを主張しながら、他者の発言に耳を傾ける姿勢が欠かせません。椙サバは、活動の過程で生まれる課題の解決方法を探り、より良い人間関係の構築に欠かせない柔軟なコミュニケーション能力を磨く実践の場なのです。

授業中、藤原先生は進行役を学生に任せ、黒子役に徹します。軌道修正が必要な際には、「安全面はきちんと考えている? 」と指摘したり、「これを準備してくれたのは誰?ありがとう。拍手!」と陰に隠れた活躍に光を当てたり。学生の自主性を尊重しながら道を示し、チームワークや個々人のリーダーシップ性を引き出していきます。

活動への貢献度を“見える化”して評価

藤原先生が授業で必ず設けているのは、プロジェクトに対する一人ひとりの貢献度を明らかにして、改めて評価する機会。椙サバ生全員が、与えられた役割と責任遂行力を認識し合えるように導いていきます。そうすることで学生たちは、自分とは異なる他者に対して「こんな一面があったんだ」と気づくことができ、お互いを認め合うことがメンバーシップを高めることにつながると学ぶのです。半期ごとに各班で定めるマニフェストの達成度をきちんと評価することも大切にしており、各種活動の意義について学生自身が自己確認する機会になっています。

いつもワイワイと賑やかで楽しい椙サバ。しかし椙サバ生は、イベントを盛り上げることやリーダーシップをとることが得意な学生だけではありません。大切なのは好奇心。人との関わりに興味があれば、このゼミを通じて自分の居場所を見つけ、学びを共有する仲間と課題解決を模索するプロセスを楽しむことができるでしょう。

人間関係学部 人間関係学科 藤原 直子 教授

人との関わりのなかで
新たな自分を発見しよう

人間関係学部 人間関係学科 藤原 直子 教授

人は、他者との関わりのなかで自分という存在を認識して生きています。つまり、人間は「ドーナツの穴」のようなもの。ドーナツがなければその穴も存在しないように、他者がいなければ自己を認識することはできません。椙山サバイバル研究は、他者との関わりによって自らを見つめ、新たな自分を発見する場。1、2年次に習得した人間関係に関する知識を「生きた知」とする体験的な学びでもあります。しばしばゼミ生からは、「椙サバに入って、学生生活が充実した」という声をもらいます。高校までのようなクラスのない大学生活で、自分の居場所を見つける機会となっている様子です。年に一度、歴代の椙サバ生たちが集まる同窓会を開いています。職業人として活躍し、母親として子育てに奮闘していたり。さまざまな立場の卒業生にとって、ここは当時の自分に戻ってお互いを認め合える場所。いつまでもそんな場であることが、17年以上続くこのゼミの大きな財産です。