現実の課題と向き合うことが、探究心の源に

3・4年次に開講されるケースメソッドや演習では、担当教員がそれぞれの専門性を生かした授業を展開しています。学生たちは、1・2年次に心理学の幅広い領域を学んだうえで、自らの興味や関心に合わせてたくさんのケース・演習科目の中から自由に選択履修することができます。

乳幼児期の発達や幼児教育を専門とする山口雅史先生の「演習Ⅰ」を履修するのは、子どもを取り巻く人間関係や子育て支援に興味をもつ学生たち。この日は、附属幼稚園での実習が行われました。事前の授業で幼児教育について学んできた学生たちでしたが、教育現場で子どもたちとふれあう初めての経験に、戸惑い、圧倒されるばかり。真夏の暑い日に、汗だくになって子どもたちと一緒に走りまわりながらも、子どもの発達や成長をめぐるさまざまな課題と向き合う貴重な機会となりました。

少人数制の対話型授業で、社会人としての基礎力を磨く

山口先生による「演習Ⅰ」では、グループワークや幼稚園実習を通して、幼児教育への理解を深めるとともに、子どもの発達について学びます。グループワークの素材となるのは、幼稚園での保育の様子を撮影したDVD。これは本来、幼稚園教諭養成のために作られたDVDですが、この演習で求められるは、そこに映し出される人と人との関わり、つまり人間関係そのものを捉える視点。教師と子どもの関係や子ども同士の関係がどのように展開するのかに注目するのです。

3歳児、4歳児、5歳児、それぞれの人間関係を客観的に観察することで、「子どもたちがケンカしているのに、なぜ先生は仲裁に入らないの?」「積極的に遊べる子とうまく遊べない子がいるのなぜ?」などの疑問をもったり、年齢によって友だちとの関わり方が変化していることに気がついたり、とさまざまな発見をします。そうした“気づき”を持ち寄って、受講生20名が4つのグループに分かれてディスカッションを行い、意見をまとめて発表。少人数での討論や対話型の授業を通してディスカッションやプレゼンテーションの能力を磨くことも、「演習Ⅰ」の重要な目的の一つです。

体験によって、理論を応用できる力に変える

はじめての幼稚園実習とグループワークを経験してきた学生たちは、幼児教育や子どもの発達への理解を深め、いよいよ2回目の幼稚園実習に挑戦。すると、数人の子どもたちから同時に遊びに誘われてもうまく対応できるようになったり、ケンカの場面ですぐに仲裁に入るのではなく落ち着いて見守ることができるようになったりと、学びの成果を発揮できるまでに。学内でのグループワークと現場での実習とを組み合わせることで、理論を実践の場に応用できる力が育まれました。同時に、専門領域への興味をさらに広げ、学びの集大成となる卒業研究へとつなげていきます。

心理学科では、こうした「演習」や「ケースメソッド」という少人数制の多彩な授業が100講座近く開講され、学生たちがそれぞれの興味にあわせて自由に選択履修しています。心理学は、医療や教育、福祉の現場はもちろん、企業など広く社会で活用されています。実習や体験を通して身につけた実践力や人間関係力を礎に、多くの卒業生たちがさまざまなフィールドに羽ばたいています。

人間関係学部 心理学科 山口 雅史 教授

身近な生活に役立つ
「こころの不思議」に挑む

人間関係学部 心理学科 山口 雅史 教授

幼い子どもと関わるのは、幼稚園の先生や保育士さんだけとは限りません。学生たちもこれからの長い人生の中で、親として、社会の一員として、地域で暮らす仲間として、多くの場面で子どもたちと関わりをもつことになるでしょう。そう考えると、心理学や発達という視点から子どもについての学びを深めることは、誰にとっても大切なことだと思っています。椙山の人間関係学部では、心理学科と人間関係学科それぞれの授業を横断的に履修することが可能です。私が専門とする乳児期、幼児期の子どもたちの世界は、親と子ども、保育者と子ども、子ども同士、地域の人びとなど、いくつもの人間関係が立体的に絡みあってできあがっています。この「人間関係」という複雑で興味深いテーマを、心という人間の内側から見つめようとする心理学科の学びと、社会や文化といった外側からアプローチしようとする人間関係学科の学びの両面から探究できるのも、本学部ならではのメリットの一つです。充実した学びのシステムが、あなたの好奇心をもっと高めてくれるのではないでしょうか。