社会学の視点からインターネットを学ぶこと

情報を得るために欠かせない身近なツールであるインターネット。私たちが今生きているのは、インターネットの誕生によって生まれた、人類が初めて経験する新しい社会です。そのインターネット社会の利点や問題点について考える能力を磨く授業が『インターネット社会論』。インターネット誕生の歴史を学び、その登場によって社会がどう変化したかなど、さまざまな影響について考察していきます。

今日の授業のテーマは、「パーソナライズされる情報環境」。Googleなどの検索サイトでは、個人のアクセス履歴やそこから推定された情報をもとに、サービスやコンテンツを最適化=パーソナライズして提供しています。そのように操作された検索結果が、私たちの行動をどのように変え、どのように影響を与えているのか。授業は、Googleの検索システムを取りあげた特集番組の一部を観て、その全体像をつかむことからはじまりました。

スマートフォンを使いながら体感的に学ぶアクティビティ

番組鑑賞は、私たちは知らず知らずのうちに自分に向けてカスタマイズされた情報にアクセスしているという前提知識の共有が目的です。その後、授業の担当教員である木田勇輔先生は一つの実験を提案しました。「おいしいスイーツ」というワードを個人のスマートフォンで検索し、結果を比べてみようという試みです。その結果、それぞれの検索画面に映し出された上位3位の順位は、個人によって入れ替わることがわかりました。検索結果の違いは、その後の行動に影響を与えます。これがスイーツではなく、政治や思想に関係する内容の場合は、社会に与える影響は確実に大きくなります。

実際にアメリカ大統領選挙では、インターネットによるキャンペーンが大々的に行われました。例えば、Facebookのパーソナライズ化によって、自分が支持する政党に偏った情報に触れていることに、どのくらいの人が気づいていたのか。具体的な例から、個人化されたインターネット情報の影響力を考えていきます。

インターネット社会論を学ぶことの意義

公正・中立のイメージがある検索サイトにも、実はさまざまな調整が加えられている事実を知ることは、インターネット社会を正しく検証する力になります。ほかにも「ネット炎上」という現象を学術的にどのように見ればよいのかなど、情報の広まり方や関連するトラブルについてのメカニズムについても考察することで、今後の社会におけるインターネットとのつきあい方を学んでいきます。

このように、インターネットの技術的な側面だけでなく、メディアによるコミュニケーションを分析する方法や社会的・文化的に考察する能力を育てることをめざしています。つまりここで学ぶ『インターネット社会論』は、工学や情報学などの理系分野に偏らず、文系の社会学の視点を重視した授業。これは1年次の『メディア社会論』『社会情報学』に続く内容であり、一連の受講によってインターネット社会や情報社会に関する知識を一通り修得することができます。

文化情報学部 メディア情報学科 木田 勇輔 准教授

さまざまな職業で生きる
「現代の教養」

文化情報学部 メディア情報学科 木田 勇輔 准教授

『インターネット社会論』は、社会学をベースに、インターネットに関する歴史、社会、文化などを扱う授業です。インターネットの歴史的な背景や社会的な側面についての教養を備えておくことは、将来、皆さんが情報サービスに関わるSEやプログラマーなどの仕事に就いた際に必ず役立つことでしょう。また、他の職種に就職したとしても、現代社会を生きるうえでコンピュータやインターネットの知識は欠かすことができません。特に、広報や広告に携わる場合には、インターネット社会がどのようなしくみで動いているのかという基礎知識が、情報発信のスキルを支えてくれるはずです。授業では、学生の皆さんにとって身近な存在であるSNS上で実際に起きた現象を取りあげて、学びの入口にしています。自分が今生きている世の中を知り、将来の就職選択につながる素養や、高度な情報社会で活躍できる力を養っていきましょう。