現代マネジメント学科

展開演習Ⅰ

消費者・生活者の
ニーズをふまえた
商品やサービスの
開発のあり方を考える。

いち消費者として商品や市場を見つめる

担当教員のもとで、特定の分野やテーマの研究活動を少人数形式で行う大学ならではの授業をゼミと言います。1年次にファーストイヤーゼミ、2年次に「基礎演習」というゼミ形式の授業が用意されている現代マネジメント学科で、3年次の前期からスタートする「展開演習Ⅰ」は、より本格的なゼミです。学生たちは、これまでに幅広く学んできた知識をベースに、自らの興味・関心に基づいて専門的に学びたい分野を選択して追究していきます。

東珠実先生が担当する「展開演習Ⅰ」の主なテーマは、消費者行動とライフスタイル。企業のCSRレポート※を文献として利用しながら応用・発展的な知識を吸収しつつ、消費者ニーズをふまえた商品やサービスの開発のあり方を実践的に探っていきます。この日は、新3年生が初めて迎えた東ゼミの時間。前年度に先輩たちが担当した「名古屋おみやげプロジェクト」を引き継ぐために必要な理解を進めます。
※環境や社会問題などに対して企業が倫理的な責任を果たすべきとする「企業の社会的責任」の考え方に基づいて行う取り組みをまとめた報告書。

クリティカルシンキングを用いてより良い答えを導く

「名古屋おみやげプロジェクト」では、全国各地の特産品や土産品の企画販売を行う県内の企業とともに、新しい名古屋土産となるような商品の開発に取り組んでいます。東先生は、昨年度の3年生が進めてきた市場調査のためのアンケート結果やターゲット層の分析結果などの情報を一通り説明。試作段階に入った商品パッケージに対する意見を求めました。

「購買ターゲット層であるサラリーマンのニーズを考えると、他にも色を検討した方がよいのでは? 」など、思い思いに感想を挙げていく学生たち。しかし、その発言は自分の好みや直感だけに頼ったものではありません。これまでに学んできたマーケティングの視点や顧客分析の手法を生かして、あえて批判的に商品を評価し、さまざまな方向から意見交換を進めていきます。この批判的思考をクリティカルシンキングと言い、東ゼミでは当面する問題を深く掘り下げより良い答えを導く方法として取り入れています。

いくつものプロジェクトを通して磨く力

東ゼミでは、他にも随時、企業や行政との連携プロジェクトが進行しています。複合施設のオアシス21で開催される「名古屋市消費生活フェア」では、エシカル商品※を紹介する展示とステージ発表を実施。大手食品会社からはゲスト講師を招いてスナック菓子やシリアル商品のマーケティングリサーチを学習。湯まわり設備メーカーのキュレーションサイト用に、大手広告代理店の指導のもとでお風呂をテーマにした記事を作成・公開する「おふろ部」のライター活動もあります。また、例年、椙山女学園中学校の生徒に向けて、消費者教育の授業も行っています。

これらの実践的な学びの中で、学生たちは消費者や生活者の視点から商品や市場を見つめ、企業や社会に意見を伝える経験を通して、ものの見方や組織の動かし方などを体験的に身につけます。また、論文を書くために必要な情報収集・分析力を養うことも目的の一つ。3年次後期の「展開演習Ⅱ」では、いよいよ卒業研究に向けた準備に入ります。
※購入することで環境や社会問題の解決に貢献できる商品。

現代マネジメント学部 現代マネジメント学科 東 珠実 教授

自分の意見が社会に響く
手応えを感じて

現代マネジメント学部 現代マネジメント学科 東 珠実 教授

「展開演習Ⅰ」での学びを通して、学生の皆さんには、自分の意見を持ち、伝えることができる人になってほしいと考えています。世の中の多様な価値観を多面的に捉えて自分の意見を発信できる人は、共感できる仲間と出会い、自分の環境や関わる組織を変えるアクションにつなげることができると考えるからです。現在、進行している行政や企業との連携活動はその実践の場。自分のアイデアが商品開発に採用されたり、マーケティングによって消費を促進したりする経験を通して、自分の言動や行動が何かを変えられると気づくことができます。学びを通して磨いたスキルは、就職活動時のグループディスカッションで自分の意見を伝えたり、エントリーシートでアピールポイントを表現する力になります。社会に出てからは、組織をマネジメントして新しい方向へ導くことに役立つことでしょう。何より、自分は社会に貢献できる存在であることを知る機会にしてほしいと思います。

※この記事は、2018年度の授業内容を取材したものです。