栄養素がエネルギーに変わるメカニズムとは

食という行為を通して体内に摂り入れた栄養素は細胞内でエネルギーに変換され、私たちの生命活動を維持しています。この目に見えない一連のメカニズムを化学的に理解するための授業が、「生化学」です。主に、三大栄養素と呼ばれる糖質、脂質、たんぱく質の種類や性質、構造、機能を知り、その吸収と代謝について学びます。1年次に学ぶ「生化学Ⅰ」では、糖質を中心に理解を進めます。

今日の授業は、「糖質の構造と種類」について。プロジェクターに映し出されるのは、担当の本山昇先生が学習の要点をまとめた資料です。「ノートに書き写す作業に気を取られることなく、理解を深めてほしい」という担当の本山昇先生の配慮から、資料のプリントアウトも配布されます。「これはもう習ったよね」。画面にならぶ糖の構造式を指し、学生に問いかける本山先生。こうして既習内容のおさらいをしながら、講義は徐々に専門的な内容へと進んでいきます。

専門職に必要なレベルの知識を蓄えるために

授業の中盤では、管理栄養士国家試験の出題問題を解いてみる一場面もありました。今日学んだばかりの内容ということもあり、指名された学生は次々と正解できて、ほっとした様子です。本山先生によると、国家試験に出題されるのは、勉強していれば正しく解答できるレベルの問題ばかり。でも、椙山女学園大学では一歩踏み込んで、より専門的な範囲まで学んでいます。生化学を学ぶ理由は、国家試験に合格するためだけではなく、食と栄養のプロフェッショナルである管理栄養士にとって欠かせない知識だからです。

学びが本格的になるほど、理解しなければならない内容も増えていきます。「生化学Ⅰ」では、授業冒頭に前回学んだ内容の小テストを実施。毎回事前に勉強しておかなければならないため、学生たちは通学時間などを上手に利用して復習する習慣を身につけ、テストの出来を維持しているとのこと。この小テストの結果は、定期テストの点数に加点されて成績評価にも反映されます。

管理栄養士としての今後を支える学びのベース

1年間学んだ「生化学Ⅰ」の後には、2年次の「生化学Ⅱ」が続き、脂質やたんぱく質を中心とした他の栄養素や代謝に関する知識を増やしていくことができます。さらに、その後に配置されている「生化学実験」の授業では、学んできた内容を試験管内の反応を可視化して実際に目で見て確かめ、理解を深めます。段階に応じた知識と体験を積み重ねることで、丸暗記ではなく本当の理解が進むように授業が構成されているのです。

生化学は、この先に学ぶすべての科目のベースを築く重要な学問です。管理栄養士として栄養面から健康を支えることや病気のメカニズムを理解するための下地となり、栄養指導や献立作成の根拠となります。病院に勤める管理栄養士ならば、医療関係者とチームを組んで治療にあたることになります。その際、本学の授業で身につけた生化学の知識は、医師や薬剤師と同じ土俵で仕事に向き合うあなたの助けになるはずです。

生活科学部 管理栄養学科 本山 昇 教授

根拠を示せる
プロフェッショナルになりましょう

生活科学部 管理栄養学科 本山 昇 教授

今、テレビやインターネットでは、「これを食べると身体に良い」「これがダイエットに効く」などの極端な情報が氾濫しています。それらのすべてが間違いだとは言えませんが、管理栄養士としての知識があれば、軽々しく極論を語ることはできないはずです。栄養素や身体のメカニズムを理解したうえで、きちんと人に伝えられるのがプロフェッショナル。椙山女学園大学が輩出する管理栄養士には、どんな時も「どうしてなのか?」という理由を伝えながら栄養指導ができる人であってほしいと思います。そのためにきちんと理解しておくべき基礎知識が生化学です。しかし、高校時代に生物や化学を選択していない学生にとっては難しい科目になりがちです。その対策として、授業では有機化学の基礎学習も取り入れ、段階を踏んで教えています。きちんと学べば、決して難し過ぎることはありません。自分の言葉で根拠を提示できる管理栄養士をめざして学びましょう。