実践を通して学んだ理論を身につける

人は、お母さんのお腹のなかにいる時から成長し歳を重ねていきます。その間のライフステージでは、それぞれ適した栄養ケアが異なります。各段階の栄養ケア・マネジメントに関する理論を学ぶ授業が「応用栄養学I~Ⅲ」です。そしてその理論の実践を通して、体験的に身につける実習科目が「応用栄養学実習」となります。食事摂取基準に従って、対象別に必要な栄養素や栄養価を満たした献立を作成し、実際に調理、評価しながら理解を深めていきます。

先週の授業で、「低学年の小学生がお手伝いしながら楽しく作れる朝食」「高学年の小学生が自分一人で楽しく作れる朝食」の献立を考案した学生たち。今日はそのレシピを持ち寄って、いよいよ調理実習室で実践です。担当教員の佐久間先生から提示された、「朝を欠食することが増えてくる年代の子どもたちに、朝食に興味を持ってもらう」という目標に向き合い、小学生でも簡単に作れる手順になっているかを確認しながら調理に取り組みます。

料理になると見えてくる “気づき”の数々

調理を一通り終えるとまずは、佐久間先生による全体の講評、そして試食タイムに入ります。さまざまな工夫を取り入れて2人1組で調理したメニューには、その数の分だけ“気付き”があります。学生たちは、お互いにできたての料理を食べて感想や意見を交換。「野菜の量が少なかった」「小学生が作るには調理工程が難しかった」など、気づいたポイントをレポートにまとめていきます。

実は、この献立の作成から試食までの間、佐久間先生は細かい指摘やアドバイスを控えてきました。たとえ失敗したとしても、その経験によって学ぶことの方が大きいからです。大切なのは、「どの点をどのように改善したら、もっと良くなるか」と、自ら評価できるように導くこと。その姿勢が、管理栄養士として市町村の保健センターで栄養指導をしたり、学校で「食育」をしたりする際に生きてくるのです。

管理栄養士として欠かせない素養を培う

「応用栄養学実習」では、他にも乳児用ミルクや離乳食の調理、災害時の備蓄食料の試食やお湯に浸せば調理できるパッククッキングの実践など、さまざまな状況やライフステージに合わせた実習に取り組んでいます。ときには高齢者の身体条件を体験できるキットを利用して、食事にどのような不便があるのかを実感するなど、幅広い視点から栄養学を学んでいきます。その過程で佐久間先生は、管理栄養士の国家試験で出題傾向にあるポイントも絡めて指導。理論と実践を結びつけることで確実に身につくようにサポートしています。

ライフステージ別に起こりがちな栄養の問題についても考える応用栄養学とその実習は、病気の際にどのような栄養ケアが必要かを知る「臨床栄養学」や、管理栄養士としてそれぞれの対象者に栄養の知識をわかりやすく伝える方法を習得する「栄養教育論I・Ⅱ」などにつながる大切な学び。管理栄養士として、どのような職場で勤めたとしても必要な素養を培う授業です。

生活科学部 管理栄養学科 佐久間 理英 講師

栄養を食事に置き換えて
伝えられる“翻訳家”に

生活科学部 管理栄養学科 佐久間 理英 講師

人は、栄養素を食べているのではなく、食事を通して身体に取り入れています。そのため、どんなに有力な学説をもとに栄養指導を行っても、対象とする人が「やってみよう」と思えなかったり、おいしく食べられなかったりするようでは意味がありません。管理栄養士は、栄養に関する専門知識を食卓の話に置き換えて伝える “翻訳家”のような存在。学んだ理論を言葉通りに丸暗記するのではなく、その実際を理解したうえで、相手に伝わる言葉や食事に置き換えて発信できる力を身につけておくことが必要です。授業では、できるだけ栄養と食をつなげるストーリーを紹介するように心掛け、調理実習で楽しく実践できるように工夫しています。皆さんが過ごすことになる管理栄養学科での4年間には、これまでの栄養や食に対する見方を大きく変えるような感動がきっと待っています。魅力的な職業である管理栄養士をめざすことに誇りを持って、ともに学んでいきましょう。